現場へ! 伝統芸能をつなぐ⑤
古くから続く祭事や伝統芸能を、未来へとつないでいくには何が必要なのだろう。
5月5日、岩手県花巻市にある大迫(おおはさま)郷土文化保存伝習館で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されている早池峰(はやちね)神楽の一つ、岳(たけ)神楽の春公演「桜の舞」が行われた。
この日、演じられたのは「山の神の舞」や「五穀の舞」など約10演目だ。両手で刀を扱ったり、跳びはねたりするなどの激しい舞が続き、所作が決まると、会場から「よしっ」という声があがる。張り詰めた空気に、4時間近くの間、記者を含めて、集まった百数十人はほとんど席を立とうとしなかった。
「神楽宿」と呼ばれる民家や神社の神楽殿で奉納されてきた岳神楽だが、現在の本拠は、1980年代に完成したこの伝習館だ。保存会の小国朋身会長(65)は「太鼓や笛の練習をするにも、集落にある自宅などだと音などにも気をつかう。伝習館のおかげでいつでも練習できるようになり、ありがたかった」と話す。
花巻市教育委員会の佐々木勝…