準決勝で滋賀学園にコールド負けした近江の選手たち=2024年10月5日午後0時16分、皇子山、仲程雄平撮影

 秋季近畿地区高校野球滋賀県大会(県高校野球連盟主催、朝日新聞社後援)は、滋賀学園の4年ぶり3回目の優勝で幕を下ろした。滋賀学園と準優勝の滋賀短大付は、来春の選抜大会出場をめざして、19日からほっともっとフィールド神戸(神戸市)である近畿大会に臨む。

 決勝のスコアは8―0。六回までは0―0だったが、滋賀学園が終盤に強打の持ち味を発揮した。山口達也監督は「粘って粘ってゲームができた。上の大会につながる」。ベスト8入りした今夏に続く甲子園出場を狙う。

 滋賀短大付は、小技などを駆使して初めて決勝まで進出。初の近畿大会出場をつかんだ。保木淳監督は「スピードのある投球に対して、バントや低い打球のヒットが打てるように練習したい」。春夏を通じて初の甲子園出場をめざす。

 これで県内の大会は、春、夏、秋と3季連続で滋賀学園が制して、その強さを印象づけた。近年は近江と競い合ってきた。そのライバルを春は決勝で1―0、この秋は準決勝で14―2の8回コールドで破った。

コールド負けの近江、課題は投手陣

 夏17回、春7回の甲子園出場を誇る近江。昨夏までの滋賀大会を中止を挟んで5連覇するなどしており、県内のチームが「近江に勝って甲子園に行く」と目標にしてきた。

 その近江が、今夏の滋賀大会は準決勝で綾羽に2―9の7回コールド負け。この秋は準々決勝までは危なげなく勝ち上がった。だが、準決勝で滋賀学園に中盤以降に突き放され、2季連続のコールド負けを喫した。

 敗因の一つに、軸になる投手が複数いなかったことがあるようだ。練習試合では県外の強豪校相手に好ゲームができていたといい、監督や選手は高校野球の難しさを口にする。

 多賀章仁監督は準決勝の試合後、春以降の公式戦を振り返り、「公式戦で力が出せない。強いんだけど勝てない。そういう流れにはまってきた」「相手が滋賀学園ということもあって力が出せない。力がないということ」などと声を落として言った。

 滋賀学園との準決勝では5投手がマウンドに立った。市原悠希主将(2年)は、練習試合では大差で負けることはなかったとし、「経験値の少なさやプレッシャーから本来のピッチングが出せなくなっていると思う」「点差がついたときにどうしたらいいかわからなくて、相手のムードに持っていかれた」と振り返った。

監督は今の2年生に期待

 2年連続の選抜大会出場が厳しくなったため、チームの視線は来夏に向く。

 準決勝で先発し、初回に147キロを計測した右腕・上田健介投手(1年)の存在は明るい要素だ。とはいえ、夏の主役になるのは今の2年生。「(2年生の投手に)期待している」と多賀監督は言う。

 市原主将は「課題に気づかせてくれた試合だった」とし、「一人一人課題を持って練習し、来夏は絶対に守備から打撃のチームを徹底してやりたい」。強い近江復活に向けて、立て直しを誓った。(仲程雄平)

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