長良川河口堰。左が下流=三重県桑名市、伊藤智章撮影

 建設をめぐって激しい議論が交わされた長良川河口堰(ぜき)(三重県桑名市)に関する1冊の本が、この春出版された。河口堰のゲートが下ろされてから、7月6日で丸29年。本に触れながら、長良川の今をたどってみた。

 3月に出た「長良川のアユと河口堰」(農山漁村文化協会、税込み2420円)。表紙にはまん丸目玉のアユのイラスト、研究者の文章に混じって高校生による老川漁師の聞き書きも。かつて数多く出された河口堰本は「政官財の癒着」批判など硬派の直球型が多かったが、趣が違う。

 「昔の議論を知らない若い世代に手に取ってほしい」。同社の編集者馬場裕一さん(46)は話す。岐阜市出身で、運用開始は高校生のころ。30年の節目を前に問題提起しようと企画した。

 執筆者は18人。元高校教師の鵜匠、市民団体の関係者、環境や河川工学の研究者ら。編者で東大院教授の蔵治光一郎さん(58)ら運用開始後から河口堰とかかわる人も。

 紹介されるアユのデータなど…

共有
Exit mobile version