7階建てのビルが横倒しになり、道路をふさいでいる。
石川県輪島市の中心部。元日の地震から時が流れてもその光景は変わらず、見るたびに復興が進んでいないと感じてきた。
ビルは、隣接する居酒屋「わじまんま」を押しつぶした。店主の楠健二さん(56)は、妻の由香利さん(当時48)と長女の珠蘭(じゅら)さん(当時19)を失った。
川崎市に転居し、再び店を開いた楠さんは11月18日、ビル本体の解体が始まってから初めて、輪島市を訪れた。
- 輪島の居酒屋、思い出の地で一歩 妻子失い、掲げた言葉は「復興中」
冬の足音を感じる午後。重い雲が垂れ込め、雨が降ったりやんだりしていた。
「ぬれた木材の朽ち果てたこ…