特殊詐欺事件で、「金の延べ棒」や「インゴット」とも呼ばれる金地金(金塊)をだまし取られる被害が相次いでいる。数千万~数億円という高額の被害も目立つ。なぜ、現金ではなく金地金が狙われるのか。

 山形県警は昨年12月4日、山形市に住む60代男性が金地金を含め約4千万円をだまし取られた特殊詐欺事件が起きたと発表した。

 県警組織犯罪対策課によると、男性の携帯電話に11月4日、「+1844」から始まる番号から電話があった。「総合通信基盤局の者」と言う女が話しかけてきた後、「山口県警の酒井」と名乗る男に代わった。男が「あなたの携帯が不正使用されている」と言ってきた。その後、電話口に「上司の松本」が登場。「検察が(男性を)逮捕しようとしている」「捜査用の携帯を送る」などと言い電話が切れた。同6日、男性宅の郵便受けに茶封筒に入ったスマホ1台が投函(とうかん)されていたという。

 翌7日、スマホでビデオ通話で話した「松本」は警察官のような制服を着ており、「検察から(男性の)逮捕状が出ている」などと話し、「逮捕状」と記載された書類の画像を送ってきた。男性は本物の警察官と信じ、指示されるままに預金残高などを伝えた。

「金に換えれば時間がかからない」と指示され

 さらに「松本」は、「紙幣番…

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