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山陽新幹線が全線開業した際の博多駅の様子=1975年3月10日、JR西日本提供
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 山陽新幹線は10日、新大阪から博多まで全線開業して50年を迎えた。同日には、JR博多駅や広島駅など各地で記念の出発式が開かれる。これまでに約30億人を運んだ西日本の大動脈の特徴は、新大阪―博多間の半分超(約280キロ)を占めるトンネルの多さにある。最深部で海面の約65メートル下を通る「新関門トンネル」の工事に関わった男性は、老朽化が進むトンネルの安全を願う。

 新大阪―博多間の計142カ所のトンネルの中で、18・713キロと最も長く、開業に向けた工事の難所だったのが、本州と九州を海底で結ぶ「新関門トンネル」だ。

 関門海峡を横断する同トンネルは、海底の下を走る「海底区間」の長さが約880メートル。最も深い場所では、海面下約65メートルをトンネルが通る。国鉄職員として工事に関わった田中辰博さん(73)=福岡市東区=は、海底区間でトンネルを掘り進める現場では「ひどい時は雨がざあざあ降るように」海水が入ってくる場所もあったと振り返る。担当者たちは、軟弱な地盤の現場に流入する海水をどう止めて崩落を防ぐか、頻繁に話し合い、掘る穴の周りに薬液を注入して固めるなど対策を重ねた。

あの瞬間を見守った

 作業員は炭鉱で働いた経験を…

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