薬は副作用が怖いけれど、健康食品なら安心だ。そう思っていませんか? 健康食品でも、以前から健康被害を起こした事例が報告されています。「効く」サプリの落とし穴を考えます。(竹石涼子)

「効くサプリ」にはカラクリがあった

 「体に良い」と宣伝されることが多い健康食品だが、健康被害は毎年のように起きている。日本医師会の健康食品安全対策委員会報告書によると、2006~22年の間に25都府県の医師から103件、175製品が報告された。

 死者はいなかったが、重篤な例が17件あり、後遺症が残った例もあった。また、似た事例がないか情報収集するとともに国などに知らせることを求めているレベル3以上が67件で、このうち最も深刻なレベル5の「警告・禁止」も4件含まれていた。

 原因と推定されたのは、体質やアレルギー、過剰摂取といった買った側の要因だけでなく、製品そのものに有害成分が含まれているものや、医薬品成分が混入した疑いがあるものもあった。医薬品との相互作用で薬の効き目が強まったり弱まったりする可能性もあるうえ、数十種類の成分が入っていることで何が原因なのか判断がつかない例もあるという。

 全国の都道府県による抜き打ち調査でも、性機能改善薬などの医薬品成分が入っているのに健康食品として売られている製品が後を絶たないのが現状だ。医薬品として認められている量をはるかに上回る量が入っていた製品もあった。品質が一定でないものもあるとされ、健康被害だけでなく、死者が出た製品もある。

 こうした健康食品は無承認無許可医薬品にあたる。各都道府県や国も行政指導をしているが、製造元まで追い切れなかったり、包装を変えてまた売られたりなどのいたちごっこも少なくないという。市販されているから安全というわけではなく、健康食品に薬のような効果を期待するのは禁物だ。

 医薬品成分でなくても、「効き過ぎる」強い成分が含まれていることもある。マメ科のプエラリア・ミリフィカは、大豆イソフラボンの1千~1万倍強い女性ホルモンに似た作用を持つとされる。豊胸やスタイルアップなどのうたい文句でサプリなどとして売られているが、取りすぎると体内のホルモンバランスが崩れる。腹痛や嘔吐(おうと)などの消化器症状のほか、発疹や月経不順など、17年までの5年間で200件以上の被害が全国の消費生活センターなどに寄せられた。

 食品衛生法の指定成分として販売者に健康被害の報告義務があるが、販売が禁止されているわけではなく、近年でも被害報告がある。

紅麴サプリで指摘される「もう1つのリスク」

 一方、国内で5人の死者を出した、小林製薬の「紅麴(こうじ)」サプリの健康被害は、青カビの混入によるプベルル酸やほかの化合物による可能性が示唆されているが、機能性関与成分そのもののリスクを指摘する声もある。

 機能性表示食品である、この…

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