篠田英朗・東京外国語大学教授

 「復讐(ふくしゅう)の連鎖」が世界中で続く今こそ、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した意味は大きい――。国際政治学者で、広島大学での勤務経験もある篠田英朗・東京外国語大学教授(平和構築論)はこう力説する。日本被団協が世界に示しているメッセージ、そして日本人が考えるべきその意義とは。

 ――日本被団協がノーベル平和賞を受賞した意義をどう考えますか。

 被爆者の方々は、原爆の惨禍を体験した戦争被害者です。戦争の被害者が、救済の対象にとどまるのではなく、これだけ継続的、体系的に、大規模に草の根の平和運動を続けてきたケースは世界的に例がありません。

 戦争被害者が憎しみだけに走るのではなく、平和運動家となる姿を世界に示しました。これは、核兵器を使わせなかったことと同じぐらい、意義深いことだと思っています。

 ――どういうことでしょうか。

 イスラエルとパレスチナなど、世界各地で「復讐」が続いています。ですが、被爆者は悲惨な経験をしながら、米国への復讐には向かいませんでした。

 むしろ、その悲惨な経験ゆえ…

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