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「大久手 山本屋」の5代目店主・青木裕典さん=名古屋市千種区、溝脇正撮影
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 名古屋めしの代表格、みそ煮込みうどんの老舗が、海外に打って出ている。反対の声もあるなかで5代目が始めた挑戦。その原動力は、将来への危機感と、名古屋の食文化を世界へ発信したいという思いだ。

 「名古屋手打烏冬(うどん)専門店 山本屋」と広東語の看板が掲げられた店では、日本の職人が麺を手打ちする様子をガラス越しに楽しむことができる。名古屋市の本店と変わらない自慢の光景だ。

 ここは、香港中心部にある巨大ショッピングセンター「海港城」。愛知県岡崎市の八丁みそを使ったみそ煮込みうどんやみそおでんなど、名古屋めしを日本の店舗と同じ味わいで提供するのが売りで、週末には1日平均約770人が訪れる人気店だ。

 仕掛け人は、1925年に名古屋市で創業した山本屋を源流とする「大久手 山本屋」の5代目店主・青木裕典(ひろのり)さん(34)。看板メニューの「親子入りみそ煮込みうどん」なら88香港ドル(約1800円)と、日本よりもやや値は張る。それでも客は絶えない。中国大手のグルメサイトでは、香港の日本食ランキングでトップを争っているという。

「胃袋の数は減っていく」抱いた危機感

 名古屋で伝統の味を守り続けてきた老舗が、香港に初となる海外店を設けたのは2023年。香港でさらに1店舗を展開するが、進出までの道のりは平らではなかった。

 15年に4代目の父から経営…

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