• 写真・図版

 年間700人以上が犠牲となっている海や川などでの水難事故。繰り返し起きる事故を防ごうと、日本財団などが実施し1万人以上が回答した意識調査で、溺れた経験がある2012人の約半数は泳げる力があったことが分かった。「自然水域では自身の能力をいかすことが難しい」と専門家は話す。

 日本財団などが「海のそなえプロジェクト」を立ち上げ、今年5月、インターネットで調査。全国の15~70歳の男女を対象に、溺れた経験や水辺の知識、泳力などを尋ねた。回答者数は1万1829人だった。

 調査結果によると、5人に1人が海や川などで「自力で陸や地上に戻れない」といった経験があった。この溺れた経験がある人の約半数は25m以上泳げたという。日本ライフセービング協会の救助救命本部長石川仁憲さんは「泳げる人でも、突然の深みや沖に流されたことでパニックになり、冷静な判断ができず溺れにつながることになる」と話す。

 水辺で流されたときなどの対処法である水面で浮いている力についても尋ねた。約7割が、背浮きなどの方法で数分以上浮けると回答した。ただ、背浮きの場合はライフセーバーでも波があると1分と持たないという。石川さんは「海では、波で顔に水がかかると背浮きを続けられない」と説明する。自分がどんな浮き方や泳ぎ方が得意かを知っておき、その方法で対応することが大事だという。

 様々な海の危険をどう感じているかの問いでは、「サメ」を「とても危険」と答えた人が66.3%で最も多かった。海水浴場での溺れ事故の主要因は「沖に向かう流れ(離岸流)」と「風」だ。しかし、「離岸流」と「風」に対して「とても危険」と答えた人はそれぞれ53%と25.6%で、「風」への評価が特に低かった。

 また、溺れた経験の多くが1…

共有