春夏合わせて全国大会に32回出場し、春2度、夏2度の全国優勝を誇る高校野球の強豪、大体大浪商硬式野球部が今年、創部100年を迎えた。11月15日には明徳義塾(高知)との記念試合、24日には記念式典があり、新たな100年へ向け飛躍を誓った。
大体大浪商の硬式野球部は学校創立から3年後、浪華商時代の1924年に創部した。終戦直後の46年夏、甲子園球場でなく西宮球場で行われた全国大会で初優勝すると、浪商に名称変更した後の61年夏にも全国制覇した。89年に茨木市から熊取町へ校舎を移し、大体大浪商に名称変更したが、激戦区・大阪の高校野球界にあって「浪商」は存在感を放ち、ファンに愛されてきた。
大阪市内であった式典には現チームを率いる中村好治監督のほか、61年夏の甲子園優勝メンバーで、プロ野球巨人のV9を支えた高田繁さん、NHK高校野球中継の解説者として知られる原田富士雄さんら、OBを中心に約250人が出席した。
高田さんは「巨人が今年90周年、阪神は来年90周年だが、それよりも浪商は歴史があるということで驚いた。夏になると浪商の成績が気になるが、(大阪大会で)ベスト8やベスト4が多く、本当に甲子園まであと一歩。この壁を一度破れば、必ず再び甲子園の常連に戻れる」。春は2002年以来、夏は牛島和彦さん(元中日など)―故・香川伸行さん(元南海・ダイエー=現ソフトバンク)のバッテリーで準決勝に進出した1979年以来となる甲子園出場へ期待を寄せた。
東映(現日本ハム)、巨人、ロッテなどでプレーし、プロ野球史上最多の3085安打を放った張本勲さんも浪商OB。メッセージを寄せ「心よりお祝い申し上げます。『あっぱれ!』」「中村監督と選手はひとつになり、これからも力強く挑戦を続けて下さい。激励の『喝!』を入れます」とおなじみのフレーズで会場を沸かせた。
会場には中村監督と40年来の親交があり、記念試合の対戦相手となった明徳義塾の馬淵史郎監督の姿もあった。中村監督がかつて率いた日章学園(宮崎)と三重が、明徳義塾と練習試合をすると、とたんに甲子園に出場したエピソードを明かし、「浪商も来年夏あたりに甲子園に出てくると思う。甲子園で試合をするのを楽しみにしている」とエールを送った。
昨秋に母校へ戻り、指揮を執り始めた中村監督は、三重監督時代の2014年夏に甲子園で準優勝しており、OBらの期待も大きい。式典最後のあいさつで中村監督は「絶対にやってやるという覚悟で50年ぶりに浪商のユニホームに袖を通した。必ず甲子園に戻ります」と宣言し、大きな拍手を浴びていた。(渋谷正章)