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白い流氷が、海を一面に覆っている。大きな氷の塊は、広さが20畳ほど。海上保安庁の巡視船「そうや」は21日、オホーツク海の調査海域に到着した。
「そうや」は20日午後、小樽港を出港した。日本海のうねりの中をひたすら北上するが、船内は大揺れに。私は10時間近く、ひどい船酔いに悩まされ、船室のベッドから起き上がることができなかった。
ところが、日付が変わるころ、まるで穏やかな湖を進んでいるかのように、揺れがピタリと止まった。
午前1時すぎからは、船が氷を砕くガシュッ、ガシュッという音が響き初めた。流氷域に入った瞬間だ。
「そうや」の富山栄隆・航海長(47)は「流氷によって海面が覆われていると、風が吹いてもうねりが立たないんです」と教えてくれた。
流氷には、海を穏やかにする効果がある。今回の航海で実感した。
「そうや」がオホーツク海での「最後の海氷観測」のため、流氷の海を進んでいる。20日から26日までの日程。記者が同行し、体感した北の海の謎を随時、船からお届けします。
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冬の風物詩の流氷。しかし、今シーズンは、北海道へ到来時期の遅さが目立った。
網走市では、陸地から目視で流氷を確認できた「流氷初日」が、平年より24日遅い2月15日に。1946年の統計開始以来、最も遅くなった。
その理由について、気象庁は、2つの要因を挙げる。
一つ目は、風の影響だ。オホ…