車庫には往年の車両がずらりと並ぶ=岡山県津山市大谷の津山まなびの鉄道館、礒部修作撮影
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 岡山県北部の津山市は、津山線や姫新線、因美線の列車がJR津山駅に乗り入れる鉄道交通の要衝だ。駅から線路沿いに歩いて約10分。「津山まなびの鉄道館」では「デゴイチ」の愛称で知られるD51形の蒸気機関車(SL)などが見学でき、地方都市発展の原動力になった鉄道の歴史を知ることができる。

 硬券切符のような厚紙の入場券にハサミを入れてもらい入場すると、「きかんしゃトーマス」さながらの光景が広がっていた。

 敷地の中央には直径約18メートルの転車台があり、その周りを機関車庫が扇状に囲む。転車台から車庫に向け放射状に線路が延びる。車庫をのぞくと、天井は真っ黒。所々に穴を塞いだ跡もある。

 「SLが活躍していた時代を感じさせる証しです」と鉄道館支配人の高田宜嗣(よしつぐ)さん(58)。真っ黒なのはSLの煙のすす、穴は煙を屋外に出す煙突の跡なのだという。

 津山駅の線路にもつながる転車台は車両を出し入れして方向転換させる施設で、1930年に造られた。6年後にできた車庫は17車両分あり、国内に現存する扇形機関車庫の中で2番目の規模という。転車台とともに鉄道遺産の頂点ともいわれる「鉄道記念物」に指定されている。

 車庫に並ぶ車両は13両。電車はなく、車体に「キハ」と書かれた気動車(ディーゼルカー)やSLなど貴重なものばかりだ。

 「D512」は日本のSLとしては最多の1115両が製造されたD51形。独特の形状から「なめくじ」の愛称がある初期型で、36年に2番目に製造された車両という。

 希少さで言えば70年製造の「DE501」。電化されていない路線の次世代主力機として開発され、国産のディーゼル機関車として最大の2千馬力ある。投入予定だった伯備線の急速な電化などにより、この車両しか製造されなかった。

 2016年にオープンした鉄道館。JR西日本岡山支社が整備してでき、津山市観光協会が運営している。津山の街並みを再現したジオラマや、鉄道の歴史や安全対策、技術を紹介する展示コーナーもある。

 津山駅構内の現役車両を間近に見ることもでき、入場者数は昨年4月に40万人を突破。同協会の岸本祥吾さん(36)は「鉄道の今と過去が間近に見られるのが魅力です」と語る。(礒部修作)

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 〈メモ〉 岡山県津山市大谷(電話0868・35・3343)。開館時間は午前9時~午後4時(入館は同3時半まで)。月曜休館(祝日は開館、翌火曜休館)。入館料は高校生以上310円、小中学生100円、未就学児無料。中国道津山ICから車で約15分。無料駐車場35台あり。(礒部修作)

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