中村治療院の前に立つ中村亮さん。津波が来たときは、建物脇の非常階段を上って3階に逃げるしかないと思っている=2025年2月7日、岩手県釜石市、吉田耕一郎撮影

 東日本大震災の時、海から約500メートルの距離にある鉄筋3階建ての自宅には2階まで津波が押し寄せ、周囲の木造家屋は流されてしまった。

 2022年に公表された予測では、自宅付近は高さ10メートル以上の津波が襲う可能性がある。その高さは3階の天井ほどになる。

 それでも――。岩手県釜石市の全盲の鍼灸(しんきゅう)師・中村亮さん(71)は、また大きな地震に見舞われても、避難場所へ行くのはあきらめている。3階建ての鍼灸院兼自宅の3階ベランダに逃げるつもりだ。

中村さんが避難場所へ「もう避難しない」と言う真意は何なのでしょうか。記事後半で思いと背景、東日本大震災の時のことをお伝えします。

 震災の時は、弱視の妹が手を…

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