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法隆寺東院廻廊の屋根の修理現場を見学する人たち=奈良県斑鳩町、塚本和人撮影
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 約80年ぶりの大規模な修理が進行中の奈良県斑鳩町の法隆寺東院礼堂(らいどう)と廻廊(かいろう)(いずれも国重要文化財)の修理現場見学会が、14日から始まった。奈良時代に聖徳太子を供養するために建てられた夢殿を中心とする東院伽藍(がらん)の建物で、鎌倉時代に再建された。15日まで。

 県文化財保存事務所法隆寺出張所が2019年から、礼堂の屋根ふき替えと部分修理を進めてきた。

 同出張所によれば、礼堂は寛喜3(1231)年に再建され、その後、6度にわたって修理された。昭和9~10(1934~35)年に解体修理されたが、天井の雨漏りなど劣化が進んでいた。

 今回の修理は屋根瓦のふき替えや、天井と柱などの一部の塗装の塗り替えなどを実施。礼堂の四面には壁がない構造だったため、新たに計10カ所で格子壁を取り付ける耐震補強工事もした。

 一方、廻廊は2024年から修理を始め、解体中の屋根の状況を見学できる。昭和12~14(1937~39)年に解体修理されたが、屋根や漆喰壁、塗装などが劣化し、2027年までに修理する予定だ。

 礼堂はすぐ北側に夢殿が見え、法要時には夢殿との間に舞台がつくられ、仮面舞踊劇などを礼堂から鑑賞していた。同出張所の吉田恭純主任は「普段は非公開の礼堂の開放的空間を味わえる、めったにない貴重な機会」と話す。

 15日は午前10時~午後4時(午後3時半で受け付け終了)。修理現場は無料だが、入場には法隆寺の拝観料が必要。問い合わせは同出張所(0745・75・2337)へ。

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