発病は年に10人程度のめずらしいタイプのがん「アグレッシブNK細胞白血病」の臨床研究(治験)が進んでいる。治験薬の効果に重要な役割を果たすたんぱく質を大阪大微生物病研究所の幸谷愛教授らのグループが見つけて米専門誌に発表した。
このがんは欧米に少ないことから研究が遅れており、診断からの平均生存期間は2カ月足らずという。治療がむずかしいのは、がんが見つかった時に肝臓の状態が悪くなっていて、抗がん剤が使えないケースが多いからだという。肝臓の状態がよくなれば、抗がん剤を使い、骨髄移植によって長く生きることも望めるとして、治験が進んでいる。
この治験の元になる成果は、阪大微生物病研究所の幸谷愛教授らのグループが見つけた。このがん細胞を移植した免疫不全マウスを作成し、がん細胞が肝臓で増えることを突き止めた。増えるのは毛細血管の中で、体内で鉄を運ぶたんぱく質が必要なこともわかった。このたんぱく質を受け取る「トランスフェリン受容体」の働きを抑えると、がんの増殖を抑えられることがわかった。
そこで、昨年から東海大などで「トランスフェリン受容体」の働きを抑える抗体を使った治験が始まった。
グループは引きつづき、この…