沖縄県名護市の経済金融活性化特区に、デジタルデータと保険を組み合わせた新興の損保会社が誕生した。登山アプリのヤマップ(福岡市)が新設したヤマップネイチャランス損保だ。社長を務めるのは、大手損保会社から転じた木村彰宏さん(55)。実は20年余り前、名護の特区づくりに末端で関わった一人だった。本社を東京でも福岡でもなく、名護にしたのは、だからであった。
「20年の悲願でやっとここに保険会社を持って来られました」。真っ黒に日焼けした木村さんは開口一番にそう言った。社長に起用された彼が真っ先に思いついたのが、名護の特区に本社をおくことだった。税制面などの優遇措置もさることながら「沖縄活性化の一助になれば、という気持ちもありました」と語る。すぐ近くでは米軍普天間飛行場の辺野古移設に対する反対運動が今も続いている。
木村さんは1992年、安田火災海上保険(現損害保険ジャパン)に入社。本店営業部に勤務していた2000年ごろ、名護が設置を目指す特区に保険ビジネスを誘致するよう上司に命じられた。
名護市の岸本建男市長(当時…