農業用水路や農道などの管理補修を担う組織「土地改良区」をめぐる贈収賄事件が、香川県内で2件相次いだ。うち1件は現職の高松市議が逮捕される事態に及んだ。自治体からの補助金が9割ほどを占める公共性の高い事業を担う改良区で、なぜ事件が相次ぐのか。
「理事長は指名業者を選定できる強大な権限を背景に、弱い立場の業者に賄賂を要求し、約10年の長期にわたって賄賂を収受し続けた」
「土地改良区を私物化したうえで職務の公正を害した」
2月、土地改良法違反事件の公判で、高松地検はこう指摘し、被告の改良区元理事長に懲役1年6カ月と追徴金95万円を求刑した。
同法違反(収賄)の罪に問われたのは、高松市の香川町浅野土地改良区の元理事長。土木会社の元取締役も同法違反(贈賄)の罪に問われた。
高松地裁は3月、改良区発注の指名競争入札で、2023年4月に予定価格を教えた見返りに現金95万円を授受したとして、2人の被告に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。被告らは控訴せず、判決は確定した。
高松市議も逮捕
今月3日には、同じく市内の舟岡池土地改良区の理事長と土木会社長が、同法違反の贈収賄容疑で逮捕された。
理事長は6期目の高松市議だった。議長経験もあるベテランで、市役所や議会に衝撃が走った。
農業にまつわる公共性の高い事業を担う「土地改良区」。高松市内で理事長が逮捕された2つの事件では、共通する背景がありました。
県警捜査2課によると、理事…