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釜の中の大麦を竹ぼうきでかき混ぜる作業=2024年7月31日、山梨県上野原市、池田拓哉撮影
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 グラスの麦茶は味も色も、とにかく濃い。

 山梨県上野原市の「上州屋 設楽(したら)彦吉(ひこきち)商店」。釜煎り麦茶を昔ながらの手作業で製造販売している。濃厚な味わいを好むファンが全国にいる。

 「このごろは冬も注文が途切れません。寝る前にノンカフェインの温かい麦茶で落ちつく方が多いようですね」。社長の設楽徳子さん(52)がうれしそうに話す。

 製造のピークは夏場。7月末、設楽さんが汗だくで1人で作業をしていた。

 ジャリ、ジャリ、ジャリ。赤く光るれんがのかまどに鉄釜を載せ、中の大麦を竹ぼうきで回す。小石がすれ合うような音が響き、釜から立ちこめる煙がコーヒーのような香りを運んでくる。

 1升の六条大麦を、直径約90センチの釜で煎ること約7分。炭になる寸前で釜からあげる。毎日5~6時間、休憩もそこそこに繰り返す。

颯爽とスーツを着こなす仕事を夢見たが…

 「釜の中は煙で見えません…

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