伊藤信太郎環境相(右から2人目)らと水俣病関係団体の懇談の途中でマイクの音声が切れる場面があり、懇談終了時に理由について問われる環境省関係者ら=2024年5月1日午後4時49分、熊本県水俣市、小宮路勝撮影
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 水俣病患者らの団体との懇談の場で、環境省がマイクの音を切って団体の発言を遮った問題は、伊藤信太郎環境相が再び現地を訪れ、団体側に謝罪する事態となった。厚生労働省の元官僚の中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は失態の背景に役人特有の気質と、落ち度を指摘する。

 ――各団体が話す時間は3分に設定され、時間を超えると、司会役の環境省職員が内容をまとめるよう促すと同時に、いきなりマイクの音声を切り、発言できなくなった。

 閣僚が患者らの団体に会い、さらにメディアも入る緊張する場面で、役人は波風を立てないように仕事をするよう心がける。短時間で区切れば苦情が出て、問題に発展することは容易に想像できた。患者らの団体よりも環境相のほうを向いていたのではないか。

 ――環境省によると、環境相の帰りの予定に合わせるため、マイクの音を切る運用を決めた。

 閣僚への気遣いを優先するのは役人の気質だ。閣僚が出席し時間が限られる。しゃくし定規だけど、3分で回しても文句を言われないだろうと思ったのではないか。

霞が関の他の官庁にも通じる気質

 ――環境省は水俣病の被害者…

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