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横断幕を掲げて大阪高裁に入廷する原告ら=2024年9月25日午後1時3分、大阪市北区、山本逸生撮影

 水俣病被害者救済法(特措法)に基づく補償を受けられなかったとして、関西などの住民128人が国と熊本県、原因企業チッソに賠償を求めた訴訟の控訴審が25日、大阪高裁で始まった。一審・大阪地裁は全員を水俣病と認めたが、国は「民間医師による診断書の信用性を認めたのは不当だ」などと主張し、請求を退けるよう求めた。

 全国4地裁に集団訴訟が起こされ、熊本、新潟両地裁の判断は分かれ、東京地裁は係争中。高裁レベルの審理は初めて。

 この日の弁論で、鹿児島県出身の70代の女性原告が出廷して意見を述べた。手足や口にしびれがあり、今でも着替えや食事にも苦労するという。だが、自身が水俣病かもしれないと気づいた時はすでに特措法の申請期限が過ぎていた。「長い間、外食をしたこともない。とても情けない。一日も早く救済してほしい」と訴えた。

 水俣病は1956年に公式確…

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