気候変動報道を強化する国際報道キャンペーン「Covering Climate Now(CCNow)」は、2024年のジャーナリズム賞を発表した。温暖化とその影響が激しくなる中で、報道は質・量ともに向上しているが、それ以上に危機は加速し増大している。

2023年8月、キューバでハリケーンによる雨で水浸しになった通りを歩く住民=AP

 CCNowは、米誌ネイションとコロンビア・ジャーナリズム・レビューが19年に発足させた。ロイター通信やAFP通信、米誌タイム、英紙ガーディアン、朝日新聞など60カ国以上、500以上のメディアが参加している。

 4年目を迎えた今年のジャーナリズム賞は、数十カ国のジャーナリストから当初の2倍以上にあたる1250の応募があった。朝日新聞記者を含む117人からなる審査委員会が、化石燃料、異常気象、健康など14部門ごとに、それぞれ3件を選出。最優秀賞、新進ジャーナリスト賞など9件も選んだ。

2024年5月、南アフリカで、廃炉になった石炭火力発電所の冷却塔の近くに広がる太陽光発電パネル=ロイター

 最優秀賞に選ばれたのは、非営利・独立系ウェブメディア「グリスト」編集長のトリスタン・アトーン、仏公共放送「フランステレビジョン」気候エディターのオードリー・セルダン、米CNN気候リポーターのレイチェル・ラミレスの3氏。

 アトーン氏は、米連邦政府から土地を付与された公立大学が、化石燃料開発から巨額の利益を得る一方、再生可能エネルギーや自然保護、先住民にはほとんど配分していないことを暴いた。

 セルダン氏は、夕方の気象情報で、気温や天候、予報だけでなく、産業革命前からの気温上昇をグラフで示すなど、気候変動との関連を伝えるようにした。その結果、視聴率もアップした。

 ラミレス氏は、気候変動で被害を受ける最貧国に対する富裕国の責任や米国西部の農家への夏の深刻な暑さの影響などをリポート。太平洋小島諸国のジャーナリスト支援にも力を入れている。

「グリーンウォッシュ」えぐり出す記事目立つ

猛暑の中、交差点を行き交う人たち=2024年8月1日午後1時12分、東京・渋谷、相場郁朗撮影

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