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民主派のネットメディア「立場新聞」の編集室を捜索し、パソコンや資料などを押収する香港警察=2021年12月29日、香港、奥寺淳撮影

 香港の民主派ネットメディア「立場新聞(スタンド・ニュース)」の幹部らが扇動的な報道を企てたとして摘発された事件で、香港の裁判所は26日、編集長だった鍾沛権氏に禁錮1年9カ月の量刑を言い渡した。編集長代行だった林紹桐氏にも禁錮11カ月の量刑が言い渡されたが、健康上の理由で釈放が認められた。

 判決は、2020年7月~21年12月に2人が携わった計11本の報道について、立法会選挙前に民主派が行った予備選挙に立候補した人物へのインタビューなどに、中国や香港政府への憎悪を扇動する意図があったなどと認定した。裁判は国家安全維持法に基づき行政長官に指名された裁判官が審理した。

 20年6月に反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)が施行されて以降、治安当局は民主派寄りのメディアを次々と摘発。立場新聞は運営停止に追い込まれていた。

 判決が同メディアの報道に「扇動の意図」があったと認定したことで、香港で報道の萎縮が一層進むおそれがある。(台北=高田正幸)

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