世界最大規模の美術展ベネチア・ビエンナーレで昨年、日本代表に選ばれるなど旺盛な発表が続く毛利悠子さん(44)が、東京・京橋の石橋財団アーティゾン美術館で、同財団所蔵の作品と呼応する形で国内初の大規模展を開いている。ひらひら、くるくる動く表現は目に楽しく、同時に抜群の批評性を備えている。
会場には作品解説の類いはない。毛利さんも「説明が必要かもしれないが、まずは空間を体感して自由に感じてもらえれば」と話す。とはいえ、なるほどそういうことか、と思える表現も少なくない。
例えば展示前半に登場する「Calls」(2013年~)なる作品。磁石らしき円盤の上で、つられたフォークがゆらゆらと動き、隣のグラスに当たりそうでなかなか当たらない。こうした日用品の活用は毛利作品の特徴の一つだ。
で、隣を見ると、抱き合う2…