「歩きスマホ」をすると段差などでつまずきやすく、転倒するリスクが高まる。その際、画面を注視して足元や周辺の視覚情報が不足するだけでなく、時間とともに変化する歩行リズムの規則性が乱れ、歩行の安定性が損なわれると、京都大や大阪大などの研究チームが人での実験で確かめた。スマホを操作することに脳内の情報処理が割かれて、歩行制御のための情報処理がされにくくなっている可能性があるという。
研究チームの野村泰伸・京大教授(医工情報学)は「人があまり歩いていないなら大丈夫だろうと歩きスマホをしている人を多く見かけるが、普段は転ばないようなちょっとした段差でも歩行の安定性が落ちていて転んでしまう可能性があり、控えてほしい」と呼びかける。
研究チームは、段差などがなく一定の速度でベルトが回転するトレッドミル(ルームランナー)の上を、足に加速度計をつけた44人の健康な男女(平均22.6歳)に、①スマホでパズルゲームをする(歩きスマホ)②電源を消したスマホの黒い画面を見つめる③スマホを持たない――の3通りで30分ほど歩き続けてもらい、1ストライド(右左1歩ずつ分)の歩行周期やそのばらつき、歩行リズムの増減パターンを調べた。
その結果、歩行周期の平均と…