止まらない円安に、日本銀行が何らかの牽制(けんせい)をするのではないか。そんな市場の見方は裏切られた。植田和男総裁は「ここまでの円安は、基調的な物価上昇率に対して大きな影響は与えていない」とし、今後も影響を注視するとした。一方で、賃金と物価の「好循環」は続いているとの認識を示し、追加の利上げに前向きな姿勢を見せた。
今回の金融政策決定会合は、34年ぶりの円安ドル高水準が連日のように更新される中で開かれた。
前回の3月会合で、日銀は大規模な金融緩和策を転換し、17年ぶりの利上げに踏み切った。金利の引き上げは、運用に有利になるため、外国為替市場では円を買う材料になる。ただ、植田氏が「緩和的な状況が続く」との見通しを示したことで、金利の高止まりが続く米国との金利差は縮まらず、円安の流れは続いた。
政府・日銀の幹部は「口先介入」を強めてきた。植田氏は先週の会見で、円安への対応策について、「もし無視できない大きな影響が発生した場合は、金融政策の変更もあり得る」と発言。市場で警戒が強まる為替介入をめぐっては、鈴木俊一財務相が「適切な対応につながる環境が整った」と踏み込んでいた。
こうした流れを受け、今回の会合では、日銀が政府と足並みをそろえ、何らかの形で円安に歯止めをかけるのではないかとの見方が強まっていた。
だが、26日正午過ぎに公表…