2019年の台風19号で増水した荒川。写真中央の岩淵水門が閉じられた。水門の左下が隅田川=同年10月13日、国土交通省荒川下流河川事務所提供
  • 【上】東京をのみ込んだ「荒れ川」の濁流 100年前に築かれた荒川放水路

 1924年に完成した、荒川と隅田川の分岐点にある旧岩淵水門(通称「赤水門」)。危機的な増水時は水門を閉め、川幅が狭い隅田川へ水が流れないようにし、東京を水害から守ってきた。

 老朽化した赤水門にかわり、82年に完成した新たな岩淵水門(通称「青水門」)は、これまでに5回閉鎖された。直近は2019年10月。各地に甚大な被害をもたらした台風19号(令和元年東日本台風)が上陸した際、12年ぶりに閉じられた。

 あのとき、荒川は氾濫(はんらん)の一歩手前だった。

 岩淵水門の上流域の3日間雨量は446ミリと、1947年のカスリーン台風時の437ミリを上回り、戦後最大を記録。水門の水位は7・17メートルに達し、氾濫危険水位まで53センチに迫っていた。

危機一髪だった鉄道橋

 国土交通省荒川下流河川事務所の渡辺健一副所長は、「水門を閉じていなかったら、隅田川は越水していたかもしれない」と話す。

 荒川の河口から約10キロ上…

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