世界の子どもの権利を保障する「子どもの権利条約」に日本が批准して30年が経った。国内外で子どもの人権を守る活動をしてきた「国際子ども権利センター」の甲斐田万智子代表理事は、日本社会はいまだに子どもの声を聴かない社会と指摘する。「子どもを大切にすることで社会も変わる」と話す甲斐田さんに話を聞いた。
子どもの権利 消極的だった日本
――子どもの権利条約ができて、どんな変化があったのでしょうか。
私はインドやカンボジアなどで、子どもの貧困や人身売買、性的搾取、児童労働の問題に取り組んできました。
子どもを権利の主体と認める条約が世界各国に広がり、支援の現場でも子どもの声を聴きながらどのように解決していけばいいのか、一緒に考えるようになったのは大きな違いだと思います。子どもを対等なパートナーとみなし、一緒に社会をつくっていく、変えていくという認識になりました。
――日本の状況はどうでしたか。
児童福祉法に子どもは権利の主体と位置づけられ、体罰も法改正で全面的に禁止されるなど、前進した部分もあります。しかし、子どもの権利に対する理解度において日本の状況は更新されていません。
子どもの権利の大切さを理解しない大人は子どもたちに教えてこなかったし、政府も子どもの権利を浸透させる取り組みを積極的には行ってきませんでした。
――なぜ日本は子どもの権利に消極的だったのでしょうか。
人権に関する理解が広がって…