模擬原爆「パンプキン」=工藤洋三さん提供

 79年前の夏、米軍は原爆の投下訓練として「模擬原爆」49発を日本各地に落とした。うち3発は詳細な着弾地がわかっていないが、神戸に落とされた1発について、科学的に謎を解き明かそうとする若者らの試みがある。

 模擬原爆は、長崎に投下された原爆「ファットマン」(長さ約3・2メートル、直径約1・5メートル、重さ約4・5トン)を模した大型爆弾。ずんぐりと丸みを帯びた形から「パンプキン」(カボチャ)とも呼ばれた。広島平和記念資料館などによると、1945年7月20日~8月14日に東京、愛知、大阪、新潟、愛媛など全国18都府県に49発が投下され、1600人以上が死傷したとされる。

 この模擬原爆について、大学1年の時に知って、その後研究を続けているのが、神戸大大学院生の西岡孔貴(こうき)さん(26)だ。

 神戸市では45年7月24日に4発が投下されたが、このうち神戸製鋼所を目標とした1発の着弾地がわかっていない。

 西岡さんが神戸の空襲に関する史料を調べたところ、当時、地元の警防団副団長だった男性が日記に「7月24日、北方の山中に爆弾投下」という趣旨の内容を記していたのを見つけた。また、国土地理院が所蔵する米軍が46年11月20日に撮影した航空写真を見ると、六甲山系の摩耶山中に大きな着弾跡のようなものが写っていた。

 これが着弾地ではないか――…

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