大規模な災害や海難事故が起きた際に犠牲者の身元をできるだけ早く確かめて遺族のもとに帰すため、海上保安庁は6日、日本医師会や日本歯科医師会ら全国5団体と協力協定を結んだ。26人が死亡・行方不明となった北海道・知床半島沖の観光船沈没のような事故などを想定し、海保と5団体が連携して素早く医師らを派遣する態勢を整えた。
協定を結んだのはほかにNPO法人日本法医学会▽日本法歯科医学会▽日本法医病理学会の3団体。
協定では、災害や船の事故などで多数の遺体を検視し、身元を確認する場合を想定。海上保安庁が医師会らに医師などの派遣を要請し、各団体でどの医師らが対応できるかを調整する。海保は医師らを巡視船や航空機に乗せ、現地入りに協力する。
海保によると、これまでも各地域の海上保安部や管区海上保安本部は地元の医大などに依頼して検視や身元確認に当たっていた。全国団体との協力を明文化することで、各保安本部だけでは対処しきれないような事案で速やかに対応できるようになる形だ。
6日の協定式に出席した海上保安庁の宮沢康一次長は「派遣の調整や手続きの迅速化だけでなく、情報共有の充実も期待できる」と話し、日本医師会の松本吉郎会長は「協定書はあくまでスタート。海保と各団体が常に連携を保ちながら、災害の発生に備える取り組みを向上させることが重要だ」と話した。