「昨年中に(異次元緩和の)本格的な出口に向かうというオプションはやはりなかった。そう今も考えている」

 日本銀行の植田和男総裁は31日の記者会見で「利上げペースが遅すぎるのではないか?」という私の質問に対し、そう答えた。

会見する日銀の植田和男総裁=2024年10月31日午後、東京都中央区、小林正明撮影

 日銀はこの日の金融政策決定会合(年8回開催、メンバーは総裁以下9人)で、政策金利を0・25%のまま維持することを決めた。

 日銀は黒田東彦(はるひこ)前総裁の時代に10年間にわたって「異次元緩和」と呼ばれる大規模な金融緩和を続けた。黒田氏は出口に出られないまま昨年4月、後任の植田総裁にバトンを渡した。

 引き継いだ植田日銀は昨年、長期金利コントロール政策の微修正を2回おこなったものの、本格的な出口戦略には着手しなかった。

 今年3月、ようやくマイナス金利政策や長期金利コントロールなどの非伝統的な政策を終了させた。

 7月には政策金利を0・25%まで引き上げ、久しぶりに「金利のある世界」に日本を引き戻した。

政府関係者「総裁は『うまくいっている』と満足げだった」

 とはいえこうした正常化のス…

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