写真・図版
大鍋で仕込まれた老舗おでん店「常夜燈」のおでん=2024年11月12日午前11時23分、大阪市北区、水野義則撮影

 大阪・梅田の北側に位置し、住宅街の中に人気飲食店や個性的な古着屋などが点在するのが、中津・中崎町エリアだ。再開発が進む「うめきた」地区にほど近いが、昔ながらの長屋の町並みも残る。その一角で、戦後間もない時期から続くのが老舗「かんさいだき 常夜燈(じょうやとう) 豊崎本家」。店主の松尾圭司さん(52)と、中津にオフィスを置く関西グルメ雑誌「あまから手帖(てちょう)」編集長の江部拓弥さん(55)に、「うめきた」の今昔を語ってもらった。

おでんだねは全部手作り

 藍色ののれんをくぐると、店内にはだしの香りが広がっていた。ぐつぐつと沸いた大鍋にはがんもどきやロールキャベツなど、手作りのおでんだねがぎっしりと並ぶ。つゆは薄く濁った黄金色で、濃い茶色のつゆの関東風おでん「関東煮(かんとうだき)」とは、見た目から異なる。

 松尾 かんさいだきと名乗っているのはうちだけですね。初代のおかみさんが京都出身で、だしを利かせた薄味のつゆになった。白みそや昆布、タイの頭を入れて味を決めています。

 初代は元々は植木屋さんで…

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