杉本昌隆八段の棋道愛楽
定例総会や株主総会など、6月は総会が多い季節です。私も基調講演やシンポジウムなどで他企業の総会に出席したことがありますが、ダークスーツに身を包んだ社員の方々とご一緒すると身が引き締まります。その会社の歴史や経営理念を知るのも良いものです。棋士も組織の中の一員なので、与えられた役割はきっと通じるものがあるでしょう。古い表現ですが「企業戦士」という言葉が浮かぶこともあります。
将棋界でも6月8日に東京で棋士総会がありました。現役棋士や引退棋士、正会員の女流棋士など東西の棋士たちが集まる特別な日です。今年は藤井聡太八冠も出席して、谷川浩司十七世名人と並んで最前列の席に座っている姿が印象的でした。
私は現在、常勤ではありませんが将棋連盟の理事を務めています。会員と相対する理事の席はたくさんありますが、偶然にも私の真正面がちょうど藤井八冠の席でした。これには何とも言えない気分になりました。少し奥にはもう1人の弟子、斎藤裕也四段の姿もあり、思わず一門の歴史を振り返りました。
棋士総会で会員が発言すれば…