亡くなった生徒の仏壇には、中学生のときに使っていたバスケットボールが置かれていた=関東地方の遺族宅、2017年撮影

 2012年に大阪市立桜宮高男子バスケットボール部の主将(当時2年生)が、当時の顧問から受けた暴力などを理由に自死した問題で、日本バスケットボール協会は9日、指導者資格の回復を求めていた元顧問の男性の復権を認めないとの決定を明らかにした。

 同協会によると、元顧問は今年2月に復権を申し立てていた。その後、協会外部の弁護士3人で構成される裁定委員会が本人や遺族らへの聞き取りをするなどして、申し立てが妥当かの審議を進めていたという。また事案の重大性から協会理事10人の意見を聞く場も設けたという。

 審議の結果、裁定委は、元顧問が遺族に対する謝罪などをほとんど行わず、「深く反省し、自粛・謹慎の時を過ごしたという形跡に乏しい」などとして、再び違反行為を起こす恐れがあると結論づけ、復権を認めないこととした。

 亡くなった生徒の父親(54)は「遺族側の意見もきちんと聞いてくれた。あれだけの行為をした人が復権するなんて到底、認められないと思っていたので妥当な判断だと思う」と話した。

 この問題を巡っては、同協会が13年6月、元顧問のコーチ資格を取り消す処分を下した。また同年10月、暴行と傷害の罪に問われた元顧問の有罪が確定していた。

 同協会が18年に設けた倫理規程では、除名などの重い処分であっても10年経てば復権申し立てが可能になっていた。

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