落語家・桂天吾さん(27)が伝統工芸の職人たちをたずねる企画。3回目の今回は、2007年創業、岡山県倉敷市にあるデニムメーカー「WHOVAL」におじゃましました。
桂天吾
1996年生まれ。神戸市出身。関西学院大学教育学部を卒業後、桂南天に弟子入り。若手落語家の登竜門と言われる「令和4年度NHK新人落語大賞」本選の6人に選ばれる。
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学生服からデニムの街に
アメリカで生まれたジーンズを日本で最初に国産化し、「日本ジーンズ発祥の地」とされるのが、倉敷市の南に位置する児島地区。JR児島駅は、自動改札の開閉する部分がジーンズで覆われていたり、駅前では頭上からジーンズがぶら下がっていたり、デニムの街の雰囲気が演出されていた。
「WHOVAL」社の石橋大輔さん(29)は、同社社長・秀次さんの長男。デニム職人でもあり、顧客対応や生産管理まで総合的な業務に従事している。
「街中がジーンズであふれていますね。なぜ児島はデニム産業が盛んなのですか」と天吾さん。石橋さんによれば、児島地区はもともと繊維産業が発達し、学生服の街として知られていた。だが、子どもも学生も減り、「何か代わるものをというなかで、児島には縫う技術があるのでデニム製造にだんだん変わっていった」と話す。
壁にかけられていたのが、一切手を加えていない最初の状態の「生デニム」。ここから色を落としたり、しわを付けたり、何度も洗ったりするのが「加工」作業。いわば、古着のような状態を目指すという。
「しわ付け」に職人の技
具体的にはどうやって加工す…