2016年7月26日、知的障害のある人らが暮らす相模原市の津久井やまゆり園で、19人が刺殺された。当時26歳の、この施設の元職員が犯行に及んだ。

 それから約2年半後、藤井克徳さん(74)は横浜拘置支所を訪れた。

最高裁判決後に開かれた報告集会であいさつする藤井克徳さん。「優生思想や障害者排除を撤廃していくための理念法はどうあるべきか。きちんと国会で審議を」と訴えた=2024年7月3日午後6時33分、東京都千代田区

 「なぜあのような事件を起こしたのですか」。面会室で向き合った植松聖被告(現在は死刑囚)に問うと、こう答えたという。

 「意思疎通のできない人は、生きていても仕方がない」

 藤井さんは視覚障害があり、日本障害者協議会代表を務める。事件の実相に迫りたい思いから、19年2~4月、被告と計3回、面会を重ねた。

 そこで感じたのは「凝り固まった障害者への差別意識、ほどきようのない障害者観」だった。

 ただ、衝撃は、事件だけにとどまらなかった。

 「障害者は不幸を作ることし…

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