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核兵器のない世界をめざす核兵器禁止条約の第3回締約国会議が、3日、米ニューヨークの国連本部で始まる。米国による広島、長崎への原爆投下から8月で80年。ロシアのウクライナ侵攻以降、核を巡るリスクがかつてなく高まり、第2次トランプ米政権の外交転換で国際情勢が混沌(こんとん)とするさなかの開催となる。
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昨年には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞。核を使ってはならないという規範が揺らいでいることに対する危機感の反映として注目された。被団協の受賞を歓迎し、この会議を核廃絶への機運醸成につなげたいと願う関係者は多い。
1970年に発効した核不拡散条約(NPT)は、米ロ英仏中の5カ国を「核兵器国」と認める一方、核軍縮の義務を負わせた。だが、その枠外で核の拡散が進み、行き詰まりを打開しようと非核保有国が推進したのが核禁条約だ。核兵器そのものを不法と位置づけ、保有や使用、威嚇を禁じることを宣言している。
国連によると、核禁条約は94カ国・地域が署名し、73カ国・地域が批准している。2024年9月にはインドネシアなどが批准した。ただ、核兵器国は「NPTを弱体化させる」などとして核禁条約に一貫して反対しており、米国の「核の傘」に入る日本や、北大西洋条約機構(NATO)加盟国も不参加だ。NATO加盟国のうちドイツやベルギー、ノルウェーなどはオブザーバー参加したことはある。
核禁条約が目指す理念の実現に向けた道のりはきわめて遠い。ロシアはウクライナに侵攻した2022年以降、核の脅しを続け、ベラルーシに戦術核兵器も配備した。25年1月には、科学者が地球滅亡までの時間を警告する「終末時計」が過去最短の89秒になった。
一方で、トランプ米大統領が…