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政府が見送りを決めた核兵器禁止条約第3回締約国会議へのオブザーバー参加について、被爆地・広島の国会議員はどんな考えを持っているのか? 「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)が18日夕に会見し、議員との面会活動の結果を報告した。
カクワカによると、県選出国会議員がいる自民、立憲、維新、国民、公明の衆院議員計7人に面会を申し込み、「スケジュールの確保が難しい」として断った自民党の岸田文雄前首相以外の6人に1~2月、面会した。
「県選出国会議員のうち各政党から最低1人」「2024年衆院選で初当選した議員全員」と面会する、と決めた上で申し込みをしたという。
自民党の寺田稔議員は1月25日、呉市の後援会事務所で面会に応じた。寺田議員は2021年の衆院選前のカクワカの政策アンケートでは、「核兵器禁止条約に日本は署名・批准するべきだと思いますか」との問いに「思う」と答えていた。しかし、24年の衆院選前は「いいえ」と回答。オブザーバー参加については「保留」としていた。
面会では、「最終的には核兵器禁止条約の世界に入っていくべきだが、問題はそのタイミング」と指摘。中国やロシア、北朝鮮など日本の周辺国が核兵器を保有する現状に触れ、「核保有国が核軍縮への道筋をつけた段階で、政府としてオブザーバー参加すべきだと考えている」と説明した。
カクワカ広島「一緒に頑張りましょう」
寺田議員と面会したカクワカ共同代表の田中美穂さん(30)は「党内で強く反発する一部議員たちとの調整、対話が難しいと吐露していた。一緒に頑張りましょうと伝えた」と振り返った。
自民党と連立与党を組む公明党は政府にオブザーバー参加を求めてきた。代表の斉藤鉄夫議員は2月8日に広島市内でカクワカと面会し、「核の傘下にいることと将来的な核廃絶は矛盾しない」と説明。ただ、条約の批准までの具体的な道筋は示さなかった。
立憲、維新、国民の野党議員はいずれも「オブザーバー参加すべきだ」との見解だったという。
田中さんは「全体的に『オブザーバー参加すべきだが、難しい』というトーンを感じた。なかなか広島選出の議員としての自負を持ち、『一生懸命やりましょう』というところには至っていない。そこは私たちがもっと後押しして、というか、『一緒にやっていきましょう』という課題でもあると思っている」と話した。
核兵器禁止条約
核兵器の開発や使用、使用の威嚇などを全面的に禁じる条約。昨年9月時点で73カ国・地域が批准しているが、米国やロシアなどの核保有国や「核の傘」の下にある日本は署名・批准していない。
同じ核の傘下にあるドイツやノルウェーのように「オブザーバー参加」すると、意思決定には参加できないものの、意見表明などができる。