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世界初の高レベル放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」の地下内部=2024年5月13日、フィンランド南西部オルキルオト島、寺西和男撮影

 フィンランドで建設中の世界初となる、高レベル放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」が、8月末にも試運転を始める。一方、世界では最終処分場の確保は思うように進んでいない。例外ではない日本だが、「原発回帰」の動きも強まる。

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 国際原子力機関(IAEA)によると、世界の原発から出た使用済み核燃料は約43万トンに上り、毎年1万トンのペースで増えている。このうち3割は再処理に回り、7割が処分や再処理待ちで貯蔵されているという。

 ただ、最終処分場の確保は容易ではないのが実情だ。

 フィンランドの隣国スウェーデンでは政府が22年1月、3基の原発がある南東部フォルスマルクに最終処分場の建設計画を承認した。フィンランドと同様の方法で地下約500メートルに埋める計画だが、操業開始は30年代を想定する。

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 欧州最多の56基の原発を抱えるフランスも、処分を担う放射性廃棄物管理機構が23年1月、仏北東部で最終処分場の建設許可を政府に申請した。しかし、本格的な操業は40年代の見込みになっている。

 住民の反対で難航する国も少なくない。米国では02年にネバダ州ユッカマウンテンを最終処分地に決めたが、地元の反対などを受けて09年に発足したオバマ政権が事実上の中止を決断。トランプ政権で一時再開を目指す動きも出たが、棚上げ状態が続く。

 脱原発を決めたドイツでも1970年代から有力候補地として調べてきた北部ゴアレーベンで住民の反対運動が高まり、2013年には白紙に戻った。

 現在は文献調査をもとに27…

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