原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をめぐり、国の選定プロセスの1段階目にあたる「文献調査」が、九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町で近く始まる。原発の立地自治体で初めてだ。調査に否定的だった脇山伸太郎町長(67)が一転、受け入れを決めた背景に何があったのか。
5月1日夜、脇山氏は、自宅の「趣味の部屋」にいた。壁一面に約20本のエレキギターが並ぶ。
1本だけスタンドに立てかけられているのは、米フェンダー社製「ストラトキャスター」。世界的ギタリストのジミ・ヘンドリックスも使ったという。1960年代後半のモデルだ。
お気に入りの一本を手に取る。ソファに腰掛け、足を組む。
弾き始めたのは、英ハードロックバンド「ディープ・パープル」の代表曲「ハイウェイ・スター」と「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
学生時代はバンドマンだった。弾くのは久しぶりだが、指が覚えている。音をひずませるように。右指のピックが高速で弦をかき鳴らす。
無心でギターを弾くと悩みが吹っ飛ぶ。「嫌なことを忘れたかった」
目指す「原発だけじゃない町」 否定し続けた文献調査
5日前の4月26日、町議会…