政府は6日、原子力関係閣僚会議を開き、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた対策を協議した。県が求めている事故時の避難道路や屋内退避施設の整備について、予算を確保して具体策をつくる方針を決めた。新たに国と県との協議の場も設ける。ただ、再稼働に慎重な花角英世知事の意思を動かせるかは、見通せない。
「再稼働への理解が進むよう、政府を挙げて、さらなる具体的な対応を行ってください」
岸田文雄首相はこの日の会議で、出席した閣僚にこう指示を出した。岸田政権は「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」を旗印に原発回帰にかじを切り、柏崎刈羽原発の再稼働にも力を注いできた。4月末には東電が7号機の原子炉に核燃料を入れる作業を終え、あとは地元の同意を待つばかり。退陣間際に県の要望に応える姿勢を示すことで、次の首相にも「路線継承」を念押しするねらいだ。経済産業省の幹部からも「次期政権に『タガ』をかけた」との見方が出る。
政府が同原発にこだわるのは、東日本で再稼働が進まない現状に焦りを感じているからだ。経産省がこの日示した資料では、東日本では電力供給の約8割を火力発電に依存しており、西日本に比べて電気料金が2~3割高いと指摘。今後、データセンターや半導体工場の新増設が進めば電力需要も高まるとみられ、安定供給のためにも、発電能力の大きい同原発の再稼働が「極めて重要」だとする。
再稼働にあたっては、地元の同意が欠かせない。県は事故が起きたときの備えも求めており、関連事業について、全額を国費でまかなうことも想定している。岸田首相も「地元の不安の声や地域振興も含めた要望等をしっかりとふまえてほしい」と強調した。(多鹿ちなみ)
慎重姿勢の新潟知事「県民にどう響くか見極め」
6日午後、原子力関係閣僚会…