互いに頭を下げる新潟県の笠鳥公一副知事(左から2人目)と経済産業省資源エネルギー庁の山田仁・政策統括調整官(右から2人目)ら=2024年9月6日、新潟市中央区、井上充昌撮影

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府の原子力関係閣僚会議が6日開かれ、新潟県が要望していた避難道路を国が整備する方針が決まった。花角英世知事が再稼働に関して掲げる「議論の材料」の一つにあたり、県は、どう具体化するかを注視する考えだ。県内首長からは更なる対策を求める声も上がった。

 この日、経済産業省資源エネルギー庁の山田仁・資源エネルギー政策統括調整官と内閣府の福島健彦審議官らが新潟県庁を訪れ、笠鳥公一副知事に関係閣僚会議が決めた「具体的対応の方針」を伝えた。

 山田氏は「地元に不安の声があることをしっかりと受け止め、能登半島地震の教訓も踏まえつつ、緊急時対応を始めとする原子力防災体制の充実強化に向けて速やかに対応を進めること」など、岸田文雄首相から指示があったことを紹介した。笠鳥副知事は「全般として要望をしっかり受け止め、真摯(しんし)にご検討いただいていると受け止めた」とした上で、「具体的な部分は詰めていくという内容だった。最終的に要望に沿った結論になるようお願いしたい」と注文した。

 山田氏らはその後、自民党新潟県連政務調査会長の高橋直揮県議と面会した。高橋県議は「これからがスタートだと感じている」と応じた。終了後の取材には、新たな協議の枠組みで道路整備がどう具体化していくのか、その推移を見守る考えを語った。その上で、原発再稼働の是非については、具体的に計画が示される段階になった場合に、党内で「議論はされるものなのかな」との認識を示した。

 関係閣僚会議が決めた具体的対応の方針によると、避難道路は、同原発から6方向へ放射状に延びる既存ルートについて、土砂災害警戒区域ののり面対策や一部区間の拡幅、橋の耐震化などを施し、30キロ圏外まで安全に通行できるようにするもの。経済産業省と内閣府、国土交通省など関係府省庁で整備し、経産省は地方負担分の予算も確保する。具体化に向けて各府省や県で協議の枠組みを新たに立ち上げる。

 避難道路のほかに、冬季の除排雪体制や屋内退避施設(シェルター)整備の強化も盛り込まれた。さらに、県民に再稼働の必要性などを理解してもらうため、年末に向けて集中的に説明会や情報発信を強化するほか、県内や電力消費地の首都圏で新聞やテレビ、ウェブなどに広告を出す。また、同原発のガバナンス強化に向けて海外の専門家や他の事業者など外部の目を入れる新たな体制を構築する。

 県の6月の要望では、これらのほかにICTを活用した円滑な避難方法の構築や、食料備蓄など資機材整備の充実、放射線モニタリング体制の維持・強化などもあった。また自民党県連は再稼働による経済的メリットを要望している。対応方針では「他の要望項目についても、地域の実情を踏まえ、具体的に対応していく」とされた。(井上充昌)

5~30キロ圏内の首長らの意見は

 資源エネルギー庁と内閣府の…

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