
今月閉校する広島県尾道市立土堂小学校の閉校記念行事が9日、旧土堂小学校(同市西土堂町)であり、児童らはかつてのまなびやとの別れを惜しんだ。旧小学校の建物の老朽化に伴い、児童125人は現在、約1キロ離れた仮設校舎で学んでいる。同小は4月に開校する尾道みなと小学校に編入する。
土堂小は1900(明治33)年に設立され、「放浪記」で知られる作家林芙美子や尾道三部作を監督した大林宣彦らが学んだ。
この日、旧土堂小では校歌などが記された閉校記念碑が除幕された。児童会長の河尻架人(かのと)さん(6年)は「学校が無くなることは寂しいけれど、最後の卒業生ということに誇りをもちたい。この校舎には2年と少ししかいなかったけれど、海が見える景色がきれいでした」と振り返った。
続いて開かれた閉校式には、地元住民らも参加。児童代表の稲川万衣巴(まいは)さん(同)が「学校前には70段の階段があり、途中で二宮金次郎像が迎えてくれた。学校には私たちの思い出がつまっている。感謝の気持ちでいっぱいです」とあいさつした。その後、旗棒から外された校旗が収納された。この春までに1万2805人の卒業生を輩出する124年の歴史に幕を下ろす。
記念行事に参加した主婦(67)は祖父から孫まで5世代が同校に通った。「なぜ(耐震補強などでなく)閉校するのか納得できない部分もあり寂しいけれど、前を向くしかない。子どもたちが良い環境で過ごせるようにしてほしい」と語った。
市中心部の小中学校再編で、土堂小のほかに久保小、長江小も閉校し、現・長江中の敷地内にできる尾道みなと小学校に統合される。久保中と長江中も統合され、尾道市初の小中一貫教育校となる。