林芳正官房長官は14日の記者会見で、与野党の国会議員や犯罪被害者遺族、元検事総長らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が死刑制度の存廃を含めて議論する会議体を設けるよう政府に求める報告書を公表したことについて、会議体の設置に否定的な見解を示した。死刑制度についても「廃止することは適当でない」と述べた。
- 死刑制度「廃止含め議論を」 遺族や元検察トップ、法学者らが提言
林氏は、国民世論の多数が死刑を「やむを得ない」と考え、凶悪犯罪も後を絶たない現状があるとして、「罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対して死刑を科することもやむを得ない」との認識を示した。そのうえで「政府として死刑制度を廃止することは適当でないと考えており、現時点で制度の存廃などを検討する会議体を設けることは考えていない」と語った。
日本弁護士連合会の呼びかけで設立された「日本の死刑制度について考える懇話会」は13日に報告書を公表し、海外の7割超の国で死刑が廃止されていることや、死刑確定後の再審で無罪とされた例があることなどを踏まえ、死刑制度を「現状のままに存続させてはならない」と指摘。国会や政府のもとに、制度の廃止を含む「根本的な検討」を議論する会議体を設置するように求めた。(森岡航平)