「蟹取(かにとり)県」を自称する鳥取の冬の味覚、松葉ガニ(ズワイガニの雄)の初競りが7日、鳥取港など鳥取県内3港であった。
今シーズンのズワイガニ漁は6日に始まった。鳥取港からは5日、地元の小学生の楽器演奏に見送られながら沖合底引き網漁船4隻が出漁。隠岐の島(島根)の近辺などで網を入れ、7日早朝に水揚げした。
県によると、鳥取港で揚がった松葉ガニ1匹に、この日県内最高値の150万円の値が付いた(昨年の最高値は280万円)。大きさや色合い、身入りなどが基準を満たす個体をブランド化した「五輝星(いつきぼし)」に該当するカニは鳥取港で0匹だったが、境漁港(境港市)で20匹、網代漁港(岩美町)で3匹揚がった。
鳥取港の初競りに出席した県漁協の船本源司副組合長理事は「五輝星がないのは残念だが、去年よりは多く取れた。鳥取のカニは比較的コスパが良いのでぜひ一口食べてほしい」と話した。
漁期は松葉ガニが来年3月20日まで、「親がに」と呼ばれるズワイガニの雌は年末まで。ズワイガニの雄で脱皮から間もない「若松葉ガニ」は来年2月1~28日。日本海ズワイガニ特別委員会で決められた鳥取県の今年度の漁獲可能量は前年度から微増の1038トン。
一方、「親がに」をめぐり県は10月、別種のオオズワイガニの雌が「親がに」の表示で販売されている例があるとして、県内の魚介類販売施設や宿泊施設に文書で適正表示を求めた。
県によると、オオズワイガニは主に北海道で駆除目的で取られるカニで、食用にも流通。「北海道産親がに」「北海道産親かに」などの表示で県内のスーパーでも売られているという。ズワイガニ漁解禁前の夏でも店頭に出ていたという。
消費者庁の「魚介類の名称のガイドライン」では、「親がに」のような地方名が理解される地域で販売する場合は地方名を表示することができるとしている。県は消費者の誤解を招かないよう、「北海道産オオズワイガニの雌」などと正しく表示して販売するよう求めている。両種は口の形に違いがあり、ズワイガニは直線的、オオズワイガニはM字形をしている。
平井伸治・鳥取県知事は6日の定例会見で「親がにも相当の相場が形成されており、その秩序が混乱することを関係者は望んでいない」と述べ、消費者にも理解を求めた。(清野貴幸)