写真・図版
移植医療部の立ち上げについて会見する、東京科学大病院の藤田知之教授(左)ら=2024年12月19日、東京都文京区、足立菜摘撮影

 東京科学大(旧・東京医科歯科大)病院が心臓移植の実施を目指して、2025年1月に「移植医療部」を立ち上げる。心臓移植を担う医療機関は全国で12施設にとどまり、同院は、一部の医療機関に偏っている負担の解消を目的に掲げている。

 同院によると、25年6月ごろまでに複数の関係学会でつくる協議会に、心臓移植の実施を申請する。審査で許可が下りれば、早ければ26年度に始める。開始する初年度は12件、翌年度以降は24件程度を目標に体制を拡充させていく考えだ。

 日本では脳死の人からの臓器提供が少なく、移植を受けるまでの待機期間は平均で数年に及ぶ。心臓移植では、登録できる年齢が60歳未満から65歳未満に引き上げられたこともあり、12年に約200人だった希望者は、今年11月末時点で824人にまで増えた。平均待機期間も23年末時点で約3年11カ月になっている。

 一方、臓器提供の意思や希望があっても、移植を担う医療機関が人員不足などを理由に辞退する事例もある。関連学会の調査によると、医療機関が心臓移植を辞退した事例は23年に16件あり、うち15件が東大病院、1件が国立循環器病研究センター(国循)だった。

 23年にあった115件の心臓移植のうち、32件が国循、25件が東大病院で実施されており、この2施設で半数を占める。

 東京科学大病院で移植医療部長となる心臓血管外科の藤田知之教授は、今年12月に開いた会見で「東京では東大に多く負担いただいているのが事実。将来的には、東大などと半々、支え合う関係でできたら」と述べた。

 心臓などの臓器移植は、人員…

共有