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焼き上がったアオムロアジのくさや=2018年1月23日、東京都新島村本村くさやの里、中山由美撮影

 新島伝統の「くさや」作りの後継者を育てようと、東京都島しょ振興公社が新島村で就業を体験する人を募っている。かつて村には、くさやを作る「五十集(いさば)」が50軒以上あったが、今は4軒しか残っていない。

 アオムロアジやトビウオなどを発酵させて作るくさやは、新島が発祥といわれる。300年ほど前、同じ塩水を繰り返し使って干物を作っているうちに偶然発酵してできたとされ、家ごとにそれぞれの「秘伝の味」を守ってきた。村によると「今も需要は多いが、後継者不足で注文に対応しきれない」という。

 創業120年を超える「菊孫商店」の藤井美絵さん(57)によると、「ここ数年でも次々廃業し、高齢化も進んでいる。残る4軒では、これまでの生産規模は維持できない」という。

 こうした現状を受け、同公社は就業体験者を募集することにした。募集は3人程度で50歳まで(中学生以下は不可)。2月7~10日の3泊4日、魚をさばいて干すまでの作業を体験してもらう。旅費と昼食は自己負担で、島内宿泊と参加費は無料。書類選考の通過者は1月27日にオンラインまたは港区で面接がある。応募締め切りは21日午後5時。申し込みの詳細は公社サイト(https://www.tokyoislands-net.jp/news/19199/別ウインドウで開きます)、問い合わせは公社(03・5472・6546)へ。藤井さんは「くさやは新島の伝統。情熱を持って続けてくれる人に来てほしい」と話す。

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