首都圏で相次ぐ住宅や店舗を狙った強盗事件で、警視庁は、東京都三鷹市で10月30日に起きた事件に「実行役」で関わったとして、20代の男2人を強盗未遂と住居侵入の疑いで逮捕し、10日発表した。2人に面識はなく、ともに「闇バイトに応募した」などと供述しているという。この事件で実行役として逮捕されたのは3人となった。
逮捕されたのはいずれも職業不詳の荒木颯斗(28)=名古屋市中川区中野本町2丁目=と渡辺創(24)=住居不定=の両容疑者。
捜査1課によると、逮捕容疑は、10月30日午前1時10分ごろ、ほかの人物と共謀し、三鷹市大沢2丁目の戸建て住宅に侵入。住民の70代男性に首を絞めるなどの暴行を加えたうえ、金品を奪おうとしたというもの。認否は明らかにしていない。
両容疑者は防犯カメラの捜査などから浮上した。両容疑者の同課への説明では、事件の数日前に、X(旧ツイッター)で「高額バイト」や「ホワイト案件」「即日即金」などと検索して闇バイトに応募。匿名性の高い通信アプリ「シグナル」で「指示役」らとやりとりし、強盗を指示されたという。
荒木容疑者は「金を持ち逃げした人から取り返してほしいと(指示役から)言われた」と供述しているという。
この事件では、京都市の大学生の男(23)が当日の夜に東京都豊島区の交番に出頭し、強盗未遂と住居侵入の疑いで逮捕されていた。警視庁は、大学生の供述や室内の状況などから、実行役がほかに2人いるとみて調べていた。
捜査関係者によると、この大学生は10月28日、母親と京都市内の警察署を訪ね、「闇バイトに応募して身分証明書の画像を送ってしまった」と相談。署員に、特殊詐欺の指示役から匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で受け子などをするよう指示されたため、「受信拒否」設定にしたが、別のアカウントから「全部分かっている」「逃げられないぞ」といったメッセージが送られてきた、などと説明したという。
話を聴いた署員は「保護措置」を提案するなどしたが、本人が翌29日夕に辞退を申し出た。警視庁は、大学生がその後、再び闇バイトに応募したとみている。
警察庁によると、首都圏では8月以降、闇バイトが絡んだ強盗などの事件が少なくとも18件起きた。警視庁と埼玉、千葉、神奈川の各県警は合同捜査本部を設置。これまでに、実行役のほか、「被害品の運搬役」やインターネット上で実行犯を募る「リクルーター役」を計40人逮捕していた。(遠藤美波、長妻昭明、藤田大道)