■現場へ 裁判所のリアル④
茨城県南東部の霞ケ浦に面した行方(なめがた)市には、水戸地裁と家裁の麻生支部が置かれている。裁判官は常駐していない。水戸市の本庁の裁判官2人が兼務し、どちらか1人がいる日が多いという。
水戸と行方の距離は約50キロ。麻生支部は最寄りのJR潮来駅から約9キロ離れている。バスはあるが2~3時間に1本だ。
最高裁事務総局によると、裁判官は水戸市の本庁と支部をタクシーで往復している。
行方市の鈴木周也市長(52)は「公共交通機関が不便なので、水戸から通うにはタクシーを使わざるをえない。その費用があれば、家を借りて常駐することができるのではないか」と指摘する。
麻生支部の管轄は、鹿嶋市と神栖(かみす)市など4市約22万人を抱える。同じ水戸家裁の日立支部の管内は約23万人で、裁判官が1人常駐している。
日立―水戸間はJR常磐線の普通列車で約30分。支部はJR日立駅から1キロも離れていない。
神栖市の作井崇弁護士(48)は「裁判官が非常駐だと予定が入りにくく、問題解決に時間がかかる人がいる。麻生と日立との違いが理解できない」と言う。
全国の家裁では地域との連携…