農作物の鳥獣被害が各地で増えるなか、国の交付金で始めた、神奈川県内のジビエ処理加工施設の運営が暗礁に乗り上げている。施設運営の代表者が姿を消したためで、地元猟友会支部では、この代表による使途不明金の疑いも発覚。県警は業務上横領容疑で捜査している。
足柄山の金太郎で知られる、同県南足柄市。森林公園の中にある平屋の施設に、シカの角をあしらった看板「ジビエ KIWOSUKU(キヲスク)」がかかる。
施設は昨年4月、女性ハンターでつくる一般社団法人「ジャパン・ハンター・ガールズ」(JHG)が開設した。国の鳥獣被害防止総合対策交付金約620万円とクラウドファンディング約250万円を元手に、使われていなかった売店を改修した。シンクや加工室、大型の冷蔵庫などを備え、見学者向けに、外から見られるようガラス張りの展示室も造った。
当初の構想では、施設に持ち込まれた捕獲後のシカなどを講習を受けた人が解体する。精肉を買い取り、缶詰に加工した商品の販売も計画していた。地域の食育の拠点にもなるはずだった。
市によると、施設は保健所から営業許可をとり、昨年7、8月に10頭のシカを処理したが、8月に工事代金の未払いが発覚。翌月中旬には、JHG代表の女性と連絡が取れなくなり、ほどなく施設の活動は休止したという。
地元猟友会に一時は活気、JHGに「みな期待していた」が
JHGは2020年9月に設…